事務所ブログ

2015年6月14日 日曜日

数次相続と登記

Q (1次)相続が発生した後、その相続人の一人が亡くなり、(2次)相続が発生した場合に、遺産分割協議により、2次相続の相続人の一人が特定の不動産を取得することになったときは、その相続人に直接相続登記をすることができますか。

A 数次にわたる相続が生じた場合に、中間の相続が単独相続であるときは、中間の相続登記を省略して、数次相続の相続人に直接相続登記をすることができるとされています(昭和30・12・16民事甲第2670号民事局長回答、昭和32・6・28民事甲第1218号民事局長回答等)。
なおこの場合、登記原因に数次の相続の日付(最後の相続以外は相続人の氏名も)が並記されることになります。

この中間登記が単独相続になる形態は、遺産分割協議や、相続の放棄、特別受益者の存在により結果的に単独相続となった場合も含むとされています。

他方、遺産分割の結果、1次相続の相続人と2次相続の相続人が各々2分お1の割合で不動産を取得することとなったときのように中間の相続が単独相続でない場合は、1次相続の相続登記と2次相続の相続登記を順次行う必要があり、数次相続の相続人に直接相続登記をすることはできないとされています(昭和36・3・23民事甲第691号民事局長回答)。

したがって、本件は遺産分割の結果、特定の不動産を2次相続の相続人が単独取得し、中間の相続が単独相続である場合ですから、その相続人に直接相続登記をすることができることになります。


相続登記についての疑問、質問等があれば、是非当事務所にご相談下さい。
藤沢法律税務FP事務所

投稿者 弁護士 石和康宏 | 記事URL

2015年6月 7日 日曜日

換価分割と譲渡所得

Q 相続財産である不動産を換価分割した場合の譲渡所得の申告はどのようになりますか。

A ①換価時に換価代金の取得割合が確定している場合と、換価時に換価代金の取得割合が確定しておらず後日分割された(取得割合が確定された)場合とで分けて考える必要があります。

① 換価時に換価代金の取得割合が確定している場合
 この場合には、
 ア 換価代金を後日遺産分割の対象に含める合意をするなどの特別の事情がないため相続人が各法定相続分に応じて換価代金を取得することとなる場合と、
 イ あらかじめ換価時までに換価代金の取得割合を定めている(分割済)場合とがあります。
 アの場合は、各相続人が換価遺産に有する所有割合である法定相続分で換価したのですから、その譲渡所得は、所有割合(=法定相続分)に応じて申告することとなります。
 イの場合は、換価代金の取得割合を定めることは、換価遺産の所有割合について換価代金の取得割合と同じ割合とすることを定めることにほかならず、各相続人は換価代金の取得割合と同じ所有割合で換価したのですから、その譲渡所得は、換価遺産の所有割合(=換価代金の取得割合)に応じて申告することになります。

② 換価時に換価代金の取得割合が確定しておらず、後日分割される場合
 遺産分割審判における換価分割の場合や換価代金を遺産分割の対象に含める合意をするなど特別の事情がある場合に、換価後に換価代金を分割したとしても、a 譲渡所得に対する課税はその資産が所有者の手を離れて他に移転するのを機会にこれを清算して課税するものであり、その収入すべき時期は、資産の引渡しがあった日によるものとされていること、b 相続人が数人あるときは、相続財産はその共有に属し、その共有状態にある遺産を共同相続人が換価した事実が無くなるものではないこと、c 遺産分割の対象は換価した遺産ではなく、換価により得た代金であることから、譲渡所得は換価時における換価遺産の所有割合(=法定相続分)により申告することになります。
 ただし、所得税の確定申告期限までに換価代金が分割され、共同相続人の全員が換価代金の取得割合に基づき譲渡所得の申告をした場合には、その申告は認められます。
 しかし、申告期限までに換価代金の分割が行われていない場合には、法定相続分により申告することとなりますが、法定相続分により申告した後にその換価代金が分割されたとしても、法定相続分による譲渡に異動が生じるものではありませんから、更正の請求等をすることはできません。
(国税庁の質疑応答事例参照)


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投稿者 弁護士 石和康宏 | 記事URL

2015年5月31日 日曜日

再転相続と相続放棄

Q 死亡した母について、その兄弟の相続に関して相続人間に争いがあります。関係の薄い母の兄弟についての相続争いに関与するのは負担のため、できれば母の兄弟の相続については相続放棄をしたいのですが、その場合、母の相続自体も放棄しなければならないのでしょうか。

A 第1相続が発生した後、その承認又は放棄をしないままに、第1相続の相続人が死亡し、第2相続(再転相続)が発生した場合、第2相続の相続人は、第2相続の承認・放棄前であれば、第2相続の帰結に関わらず、第1相続のみその承認・放棄を選択することができます。
 したがって、お母様の相続(第2相続)についての承認・放棄の選択する前であれば、お母様のご兄弟に関する相続(第1相続)については、お母様に関する相続の帰結に関わらず、それのみ放棄することができます(なお、お母様のご兄弟に関する相続(第1相続)について相続放棄をするためには、当然ながらその相続(第1相続)について相続放棄のための熟慮期間(原則として相続発生から3ヶ月)が経過していないことが必要です)。


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2015年5月24日 日曜日

遺留分減殺請求と登記

Q 遺留分を侵害する遺贈に対して、遺留分減殺請求を行使しました。この場合、相続による移転登記をすることができますか。

A 遺留分を侵害する遺贈がなされ、遺留分減殺請求がなされた場合の登記については、受遺者が遺贈の登記を受けているかで異なることになります。

受遺者が遺贈の登記を受ける前に、遺留分減殺請求権が行使された場合は、遺留分権利者は、単独で被相続人名義から直接自己に対し相続による移転登記をすることができます。

受遺者が遺贈の登記をした後に、遺留分減殺請求権が行使された場合は、遺留分権利者は、遺留分減殺を原因として、自己を登記権利者、受遺者を登記義務者として共同申請により、移転登記をすることになります。
この権利の移転は、実質的に相続による権利の移転と解されるため、登録免許税は相続による場合と同様になります。


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2015年5月17日 日曜日

貸付自粛制度

貸付自粛制度とは、資金需要者が、自らに浪費の習癖があることその他の理由により、自らを自粛対象者とする旨又は親族のうち一定の範囲の者が、金銭貸付による債務者を自粛対象者とする旨を日本貸金業協会に対して申告することにより、日本貸金業協会が、これに対応する情報を個人信用情報機関に登録し、一定期間、当該個人信用情報機関の会員に対して提供する制度です。

貸付自粛情報の登録内容は、氏名、性別、生年月日、住所、自宅電話番号(または携帯電話番号)、勤務先名、勤務先電話番号です。

一定期間とは、貸付自粛の登録を受理した日から概ね5年間を下らない期間となります。

親族のうち一定範囲の者とは、自粛対象者の配偶者又は三親等内の親族及び同居の親族ですが、ただし親族が申込者となる場合は、以下の要件を満たされなければなりません。

1 自粛対象者の配偶者又は三親等内の親族であることを客観的な資料で確認できること
2 自粛対象者が所在不明であることが客観的な事実により証明できること(家庭裁判所が発行する失踪宣言の審判書等)
3 自粛対象者の所在不明の原因が、金銭の貸付による金銭債務の負担を原因としている可能性があること
4 貸付自粛の対応をとることが自粛対象者の生命、身体又は財産の保護のために必要があると認められる場合であること
5 自粛対象者本人の同意を得ることが困難であること
6 配偶者又は二親等内の親族が申告することが著しく困難と認められること(三親等内の親族及び同居の親族である場合)

本人の法定代理人も申込書となることができます。従って、成年後見人が申込をすることは可能です。

なお、70歳以上の者に対しては、銀行、(正規の)貸金業者は自主的にキャッシング等の貸付を制限していることが多いため、通常は70歳以上の者がキャッシング等の貸付を受けることはできません。


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