事務所ブログ

2014年10月19日 日曜日

負担付遺贈

遺贈は、一方的に受遺者に財産を与えるだけでなく、受遺者に財産を与えるとともに義務を負わすこともできます。
これを負担付遺贈といいます。
具体的には、長男が母の面倒を見る代わりに、遺贈者である父が所有する不動産全てを長男に譲るというようなものが考えられます。

負担付遺贈は、負担の履行、不履行が遺贈の条件となるものではないので、遺贈者の死亡により確定的に遺贈の効力が生じることになります(なお、遺贈に条件を付ける条件付遺贈をすることも可能です。この場合は条件が成就しない限り、遺贈の効力が生じません(民法985条2項))。

負担付遺贈では受遺者は負担について履行の義務を負うことになりますが、それはあくまで遺贈された財産の価額の限度となります(民法1002条1項)。
負担付遺贈を受けた者がその義務を履行しないときは、相続人は相当な期間を定めて履行を催告し、その期間内に履行がない場合は、負担付遺贈にかかる遺言の取消を家庭裁判所に請求することができます(民法1027条)。

負担付遺贈において受遺者が遺贈を放棄した場合は、負担によって利益を受けるべき者が自ら受遺者となることができます(民法1002条2項)。

負担付遺贈がなされた場合でも、それが遺留分権者の遺留分を侵害するものである場合は、遺留分減殺請求の対象となります。

遺贈についての疑問、質問等があれば、是非当事務所にご相談下さい。
藤沢法律税務FP事務所

投稿者 弁護士 石和康宏 | 記事URL

2014年10月13日 月曜日

相続開始年の生前贈与

Q 弟が亡くなり、その亡くなった年に私は弟から生前贈与を受けていたのですが、贈与税を納めることになるのですか。
弟には子供がいるのですが、私が生前贈与を受けた財産も遺留分減殺請求の対象になるのですか。

A 贈与者が贈与をした年に死亡した場合、受贈者が相続又は遺贈により財産を取得した場合は、相続等により得た財産と合わせて、相続税の対象となります。
一方、受贈者が相続又は遺贈により財産を取得しなかった場合は、贈与税の対象となります。
したがって、弟さんから相続又は遺贈により財産を取得したかにより、相続税か贈与税か結論が異なってくることになります。

相続開始前1年内になされた贈与は、遺留分の算定にあたっての基礎財産となります。
もっとも、遺留分減殺請求の順序は、遺贈、贈与の順になります。
したがって、弟さんの遺贈の有無、その価額により、遺留分減殺請求の対象となるか結論が異なってくることになります。

投稿者 弁護士 石和康宏 | 記事URL

2014年10月11日 土曜日

遺贈の場合の税金、死亡保険金の非課税の対象範囲

Q  私には子供もおりますが、世話になった妹にも遺言で私の死後財産を贈りたいと考えています。
ただ、相続人でない妹に財産を贈ると贈与税がかかってしまうのでしょうか。
また、死亡保険金を受領させる場合、それについて一定の範囲で相続税が非課税になると聞きましたが、上記のケースで妹に生命保険金を受領させれば、非課税となりますか。

A  相続税の納税義務者は、相続及び遺贈により財産を取得した個人となりますから、遺贈(遺言による贈与)により財産を取得する場合は、相続税の対象となります。
ただ、被相続人の一親等の血族及び配偶者以外の者は、相続税の2割加算の対象となります。

被相続人が保険料を負担していた死亡保険金は、相続税の対象となりますが、この死亡保険金の受取人が相続人である場合は、500万円に法定相続人の数を乗じた額を相続人各人が取得した死亡保険金の割合で按分した額が非課税となります。
したがって、本件の場合、妹さんは相続人ではないので、妹さんが受領した死亡保険金に非課税の適用はありません。

投稿者 弁護士 石和康宏 | 記事URL

2014年10月 5日 日曜日

遺留分に関する民法の特例

中小企業の現経営者が、生前贈与や遺贈によって後継者である特定の相続人に自社株を集中しようとしても、原則として、他の相続人の遺留分を侵害するような贈与等は無効とされることになります。

また、生前贈与を受けた後継者である特定の相続人の貢献により自社株の価値が上昇した場合に、遺留分の評価時点は、相続開始時点であるため、想定外の遺留分の主張を受けることになるおそれもあります。

そこで、このような問題に対処するため、遺留分に関する民法の特例制度があります。

この特例を利用すれば、推定相続人全員の合意の上で、現経営者から後継者である特定の相続人に贈与等される自社株について、①遺留分算定の基礎財産から除外すること(除外合意)や、②遺留分算定基礎財産に参入する価額を合意時の時価に固定すること(固定合意)ができます。

この特例は、以上の合意を得た上で、経済産業大臣の確認、及び、家庭裁判所の許可を受けることにより効力が生じます。確認申請、及び、許可申立については、贈与等を受けた後継者である特定の相続人が単独で行うことができます。

この特例を利用するには、合意時点において3年以上継続して事業を行っている非上場会社の代表者であった者が、以下の要件を満たす後継者に同会社の株式を贈与等することが必要です。
・合意時点で会社の代表者であること
・株式を取得したことにより、会社の議決権の過半数を保有していること

なお、この合意と合わせて、後継者である特定の相続人が贈与等を受ける株式以外の財産や他の相続人が贈与を受ける財産について遺留分算定基礎財産から除外する合意をすることもできます。

自社株(事業)の承継等についての疑問、質問等があれば、是非当事務所にご相談下さい。
藤沢法律税務FP事務所

投稿者 弁護士 石和康宏 | 記事URL

アクセス



〒251-0055 
神奈川県藤沢市南藤沢8-1 
日の出ビル2F
(藤沢駅南口・OKストア前)

TEL 0466-52-6818
FAX 0466-52-6819

平日9:00~18:00
(予約制・土日時間外対応相談)

お問い合わせ 詳しくはこちら