Q&A

2016年1月30日 土曜日

休眠担保権抹消の特例

Q 相続で承継した土地について、何代も以前にされた抵当権の登記が残っていますが、抵当権者の行方は不明です。このような場合でも、抵当権者と共同で登記の抹消を申請するほかはないのでしょうか。

A 相続等で取得した土地について、何代も以前にされた抵当権の登記があるが、抵当権者が行方不明のため、共同して抵当権等の登記の抹消の申請をすることができない場合があります。

このような場合、供託をした上で、その供託をしたことを証する書面を登記申請書に添付して、単独で抵当権等の登記の抹消を申請することができるとされています。

単独でこの抵当権等の登記の抹消手続を行うためには、次の要件を満たしている必要があります。

① 抵当権者等の登記義務者が行方不明であり,共同で抵当権等の登記の抹消を申請することができないこと。
② 被担保債権の弁済期から20年以上経過していること。
③ 被担保債権の債務者、物上保証人等が、債務履行地の供託所に、被担保債権(元本)、利息及び債務不履行によって生じた損害金を供託すること。
④ 供託したことを証する書面(供託書正本)を登記申請書に添付して、単独で抵当権等の登記の抹消を申請すること。

供託をする場合には、債務の履行地の供託所において、供託の手続を行う必要があります。
なお、登記義務者(被供託者)の最後の住所地を管轄する供託所に供託しなければならない場合に、登記簿上、その住所が判明しない場合は、債務者の住所地の最寄りの供託所に供託することができます。


相続不動産、担保権についての疑問、質問等があれば、是非当事務所にご相談下さい。
藤沢法律税務FP事務所

投稿者 弁護士 石和康宏 | 記事URL

2015年10月25日 日曜日

遺言書と押印

Q 遺言書自体に押印がなく、遺言書の入った封筒の封じ目に押印がされている場合、遺言書は有効ですか。

A 有効と考えられます。判例は、民法968条1項が自筆証書遺言の方式として自署のほか押印を要するとした趣旨は、遺言の全文等の自署とあいまって遺言者の同一性及び真意を確保するとともに、重要な文書については作成者が署名した上その名下に押印することによって文書の作成を完結させるという我が国の慣行ないし法意識に照らして文書の完成を担保するところにある。同趣旨が損なわれない限り押印の位置は必ずしも署名の名下であることを要しない、としています。


遺言、相続についての疑問、質問等があれば、是非当事務所にご相談下さい。
藤沢法律税務FP事務所

投稿者 弁護士 石和康宏 | 記事URL

2015年6月14日 日曜日

数次相続と登記

Q (1次)相続が発生した後、その相続人の一人が亡くなり、(2次)相続が発生した場合に、遺産分割協議により、2次相続の相続人の一人が特定の不動産を取得することになったときは、その相続人に直接相続登記をすることができますか。

A 数次にわたる相続が生じた場合に、中間の相続が単独相続であるときは、中間の相続登記を省略して、数次相続の相続人に直接相続登記をすることができるとされています(昭和30・12・16民事甲第2670号民事局長回答、昭和32・6・28民事甲第1218号民事局長回答等)。
なおこの場合、登記原因に数次の相続の日付(最後の相続以外は相続人の氏名も)が並記されることになります。

この中間登記が単独相続になる形態は、遺産分割協議や、相続の放棄、特別受益者の存在により結果的に単独相続となった場合も含むとされています。

他方、遺産分割の結果、1次相続の相続人と2次相続の相続人が各々2分お1の割合で不動産を取得することとなったときのように中間の相続が単独相続でない場合は、1次相続の相続登記と2次相続の相続登記を順次行う必要があり、数次相続の相続人に直接相続登記をすることはできないとされています(昭和36・3・23民事甲第691号民事局長回答)。

したがって、本件は遺産分割の結果、特定の不動産を2次相続の相続人が単独取得し、中間の相続が単独相続である場合ですから、その相続人に直接相続登記をすることができることになります。


相続登記についての疑問、質問等があれば、是非当事務所にご相談下さい。
藤沢法律税務FP事務所

投稿者 弁護士 石和康宏 | 記事URL

2015年6月 7日 日曜日

換価分割と譲渡所得

Q 相続財産である不動産を換価分割した場合の譲渡所得の申告はどのようになりますか。

A ①換価時に換価代金の取得割合が確定している場合と、換価時に換価代金の取得割合が確定しておらず後日分割された(取得割合が確定された)場合とで分けて考える必要があります。

① 換価時に換価代金の取得割合が確定している場合
 この場合には、
 ア 換価代金を後日遺産分割の対象に含める合意をするなどの特別の事情がないため相続人が各法定相続分に応じて換価代金を取得することとなる場合と、
 イ あらかじめ換価時までに換価代金の取得割合を定めている(分割済)場合とがあります。
 アの場合は、各相続人が換価遺産に有する所有割合である法定相続分で換価したのですから、その譲渡所得は、所有割合(=法定相続分)に応じて申告することとなります。
 イの場合は、換価代金の取得割合を定めることは、換価遺産の所有割合について換価代金の取得割合と同じ割合とすることを定めることにほかならず、各相続人は換価代金の取得割合と同じ所有割合で換価したのですから、その譲渡所得は、換価遺産の所有割合(=換価代金の取得割合)に応じて申告することになります。

② 換価時に換価代金の取得割合が確定しておらず、後日分割される場合
 遺産分割審判における換価分割の場合や換価代金を遺産分割の対象に含める合意をするなど特別の事情がある場合に、換価後に換価代金を分割したとしても、a 譲渡所得に対する課税はその資産が所有者の手を離れて他に移転するのを機会にこれを清算して課税するものであり、その収入すべき時期は、資産の引渡しがあった日によるものとされていること、b 相続人が数人あるときは、相続財産はその共有に属し、その共有状態にある遺産を共同相続人が換価した事実が無くなるものではないこと、c 遺産分割の対象は換価した遺産ではなく、換価により得た代金であることから、譲渡所得は換価時における換価遺産の所有割合(=法定相続分)により申告することになります。
 ただし、所得税の確定申告期限までに換価代金が分割され、共同相続人の全員が換価代金の取得割合に基づき譲渡所得の申告をした場合には、その申告は認められます。
 しかし、申告期限までに換価代金の分割が行われていない場合には、法定相続分により申告することとなりますが、法定相続分により申告した後にその換価代金が分割されたとしても、法定相続分による譲渡に異動が生じるものではありませんから、更正の請求等をすることはできません。
(国税庁の質疑応答事例参照)


遺産分割についての疑問、質問等があれば、是非当事務所にご相談下さい。
藤沢法律税務FP事務所

投稿者 弁護士 石和康宏 | 記事URL

2015年5月31日 日曜日

再転相続と相続放棄

Q 死亡した母について、その兄弟の相続に関して相続人間に争いがあります。関係の薄い母の兄弟についての相続争いに関与するのは負担のため、できれば母の兄弟の相続については相続放棄をしたいのですが、その場合、母の相続自体も放棄しなければならないのでしょうか。

A 第1相続が発生した後、その承認又は放棄をしないままに、第1相続の相続人が死亡し、第2相続(再転相続)が発生した場合、第2相続の相続人は、第2相続の承認・放棄前であれば、第2相続の帰結に関わらず、第1相続のみその承認・放棄を選択することができます。
 したがって、お母様の相続(第2相続)についての承認・放棄の選択する前であれば、お母様のご兄弟に関する相続(第1相続)については、お母様に関する相続の帰結に関わらず、それのみ放棄することができます(なお、お母様のご兄弟に関する相続(第1相続)について相続放棄をするためには、当然ながらその相続(第1相続)について相続放棄のための熟慮期間(原則として相続発生から3ヶ月)が経過していないことが必要です)。


相続放棄についての疑問、質問等があれば、是非当事務所にご相談下さい。
藤沢法律税務FP事務所

投稿者 弁護士 石和康宏 | 記事URL

アクセス



〒251-0055 
神奈川県藤沢市南藤沢8-1 
日の出ビル2F
(藤沢駅南口・OKストア前)

TEL 0466-52-6818
FAX 0466-52-6819

平日9:00~18:00
(予約制・土日時間外対応相談)

お問い合わせ 詳しくはこちら