事務所ブログ

2014年12月14日 日曜日

投資信託と遺産分割

Q 投資信託を共同相続した場合、共同相続人の一人が相続割合に従って単独で償還請求権を行使できますか。

A 最高裁判所の判例(平成26年2月25日)が、委託者指図型投資信託に係る信託契約に基づく受益権は、口数を単位とするものであって、その内容として、法令上、償還請求権及び収益分配請求権という金銭支払請求権のほか、信託財産に関する帳簿書類の閲覧又は謄写の請求権等の委託者に対する監督的機能を有する権利が規定されており、可分給付を目的とする権利でないものが含まれているので、このような投資信託受益権に含まれる権利の内容及び性質に照らせば、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないとしています。

 さらに、委託者指図型投資信託の受益権につき、共同相続開始後に元本償還金等が発生し、それが預り金として上記受益権の販売会社における被相続人名義の口座に入金された場合にも、上記預り金の返還を求める債権は当然に相続分に応じて分割されることはなく、共同相続人の一人は、上記販売会社に対し、自己の相続分に相当する金員の支払を請求することができないというべきであると最近最高裁で判断されています(平成26年12月12日)。

 したがって、投信信託(一般の人々の間に証券会社や銀行等を通じて広く取引されている投資信託は、委託者指図型投資信託になります)を共同相続した場合、遺産分割を経ずに、共同相続人の一人が相続分に従って単独で権利行使することはできません。


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藤沢法律税務FP事務所

 
 
 



投稿者 弁護士 石和康宏

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