事務所ブログ

2015年3月29日 日曜日

遺産分割と不動産の登記

相続財産である不動産を遺産分割により取得した相続人が登記を申請するには、以下の書類を添付する必要があります。

①遺産分割協議書
②被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等(期間の制限はありません)
③相続人全員の戸籍謄本(期間の制限はありません)
④相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印された印鑑のもの。期間の制限はありません)
⑤不動産を取得する相続人の住民票(期間の制限はありません)

相続関係説明図を提出すれば、被相続人や相続人の戸籍謄本等の原本(②、③)の返却を受けることができます。遺産分割協議書(①)や印鑑証明書(④)等も「原本と相違ない旨」を記載して申請者が押印した写しを提出することにより原本の返却を受けることができます)。

なお、遺産分割が調停や審判で行われた場合は、戸籍謄本等、印鑑証明書(②~④)を添付する必要はありません。


相続登記についての疑問、質問等があれば、是非当事務所にご相談下さい。
藤沢法律税務FP事務所

投稿者 弁護士 石和康宏 | 記事URL

2015年3月22日 日曜日

自動車と相続

相続財産に自動車がある場合も当然あります。

相続人(複数人も可能)が相続財産たる自動車を相続する(移転登録する)場合には、譲渡人の譲渡証明書が必要ない代わりに、原則として、被相続人の死亡と相続人全員が確認できる戸籍謄本等、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)、自動車保管場所証明書(被相続人と相続人の使用の本拠が異なる場合)などが必要になります。

相続人が相続財産たる自動車を相続放棄する場合は、相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述を行えば、法律上は自動車に関する権利義務を承継することはありません。しかしながら、物体として残された自動車の処理がなお問題となってきます。

自動車が無価値の場合には、解体処理することにより、保管費用の発生の継続を回避することができます(解体報告記録日が設定されれば、届出することにより税止めも可能になるようです)。

自動車に価値がある場合が問題です。正当な価額で売却した上、その代金を保管しておけば、私に消費したことにはあたらないと考えられますが、相続人として移転登録手続をすることができない以上、事実上売却することが困難です。
正当な手続としては、相続財産管理人を選任する必要があるということになります。


自動車の相続についての疑問、質問等があれば、是非当事務所にご相談下さい。
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2015年3月15日 日曜日

相続欠格

被相続人の何ら意思表示を要さず、一定の事由があった場合に法律上当然に相続人の相続権を失わせる制度として相続欠格の制度があります。

故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡に至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者、あるいは、被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告発しなかった者は、当然に相続権を失います。

また、詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者、詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させたこ者、相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者も当然に相続権を失います。

これらの事由に該当したといえるために、それぞれの所定の事由にあたる事実を認識していることのほかに、相続に関して不当な利益を得る目的を有するかどうかについては、議論が分かれていますが、遺言書の破棄隠匿行為に関して、これを必要とした最高裁判例があります。

なお、相続欠格者に子・孫などの直系卑属がいる場合、これらの者は代襲相続することができます。


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2015年3月 8日 日曜日

相続人の廃除

相続人の廃除とは、遺留分を有する推定相続人(配偶者、直系卑属、直系尊属)に、被相続人に対する虐待、重大な侮辱、その他の著しい非行があった場合に、被相続人の意思に基づいてその相続人の相続資格を喪失させる制度です。

被相続人に対する虐待、重大の侮辱に具体的にどのような行為が該当するかについては、被相続人に対する度重なる暴行、老齢で病床の被相続人に生活費を与えない行為などが考えられます。

裁判例では、重大な侮辱には、被相続人に対して精神的苦痛を与え又はその名誉を棄損する行為であって、それにより被相続人と当該相続人との家族的共同生活関係が破壊され、その修復を著しく困難にする行為も含まれるとしたものがあります。

著しい非行に具体的にどのような行為が該当するかについては、多額又は度重なる借金などの返済を被相続人にさせたり、被相続人の財産を無断で担保に入れたりなど、被相続人が直接に経済的・精神的被害を受けている場合などが考えられます。
著しい非行といえるためには、遺留分の剥奪を正当化できるほどに、当該相続人自身が被相続人との間の親族的共同生活関係ないし相続的協同関係を破壊したといえる程度の事情が必要と考えられ、非行の原因が被相続人にもある場合や一時的なものである場合には、あたらないとされる場合が多いようです。

相続人を廃除するには、生前に被相続人が家庭裁判所に申立を行うか、遺言でこれを行う必要があります(この場合は、遺言執行者が廃除の申立をします)。

廃除の効果が生じると、廃除された相続人は相続資格を喪失し、遺留分も剥奪されることになります。

なお被廃除者が廃除により相続資格を失っても、被廃除者の子は代襲相続により、被廃除者の相続分を得ることはできます。


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2015年3月 1日 日曜日

相続分野の民法見直し諮問

2月24日、法相が法制審議会に相続分野の民法の見直しを諮問しました。

見直し内容の一つとして、配偶者が遺産分割が終了するまで自宅に居住し続けられるようにするということがあります。
この点については、相続前から被相続人の許諾を得て遺産である建物に同居してきた相続人について、最判平成8年12月17日が、遺産分割終了まで使用貸借が存続するとして、既にその保護を図っており、実務的には大きな変更ではないといえます。

ほかには、夫婦が協力して形成した財産については、実質的夫婦共有財産として遺産から除外し、残った遺産については、逆に配偶者の取り分を減らすということがあります。
この点については、先妻が亡父とともに築いた財産について、亡父が高齢になってから婚姻した後妻が法定相続分に従ってその半分について当然のごとく分配を受けてしまうという実務があり、子供らが不満を募らせるという状況がありますので、実現すれば、世の人達の通常の感覚に合致し、それを反映する法改正として、より適切な解決を導くことになるように思います。

また、被相続人の介護等で一定の貢献をした相続人の相続分を加算するということがあります。
現行の寄与分制度は要件が厳格で、この制度による実質的な取得分の増加はなかなか認められにくいという実務がありますので、もう少し緩和された要件の下で相続人の貢献が反映されるとすると、より実情に見合った解決が期待できるようになる可能性はあります。


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