事務所ブログ

2015年2月22日 日曜日

任意後見契約

任意後見契約とは、委任者が、受任者に対し、精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害等)により判断能力が不十分な状況となった場合における自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部について代理権を付与する委任契約で、任意後見監督人が選任された時からその効力を生ずる特約を付したものをいいます。

任意後見契約に関する法律(任意後見契約法)では、任意後見契約の委任者を「本人」、任意後見監督人選任前の任意後見契約の受任者を「任意後見受任者」、任意後見監督人選任後の任意後見契約の受任者を「任意後見人」と呼びます。

任意後見契約の際には、本人が契約事項等の任意後見契約の内容を理解していることが必要です。

任意後見契約は、公証人の作成する公正証書によって締結しなければなりません。

任意後見契約の公正証書が作成されると、公証人が法務局へ登記を嘱託し、任意後見契約の登記がなされます。

任意後見契約の登記完了後、精神上の障害により本人の判断能力が不十分になったときは、本人、配偶者、四親等内の親族又は任意後見受任者は、家庭裁判所に対し、任意後見監督人の選任の申立をし、本人の判断能力が不十分と認められたときは、任意後見監督人が選任され、任意後見契約が効力を生じます。

任意後見契約の利用形態としては、将来型、移行型、速効型の三つの形態があります。

将来型は、任意後見契約に関する法律の法文に即した典型的な契約形態であり、委任者が将来自己の判断能力が低下した時点ではじめて任意後見人による保護を受けようとする場合の契約形態です。

移行型は、任意代理の委任契約から任意後見契約に移行する場合であり、委任者が契約締結時あるいは判断能力低下以前から受任者に財産管理等の事務を委託し、自己の判断能力の低下後は公的機関の監督の下で受任者に任意後見人として事務処理を継続してもらう契約形態です。

即効型は、軽度の認知症・知的障害・精神障害等の状態で意思能力を有していれば任意後見契約を締結することが可能であるため、任意後見契約の締結の直後に、任意後見監督人選任の申立を行い、任意後見契約の効力を発生させる利用形態です。

任意後見人の資格は特に限定されていません。したがって、弁護士、司法書士等の法律実務家に限られず、社会福祉士等の福祉の専門家のほか、本人の親族、知人も任意後見人になることができます。法人も任意後見人になることができます。
もっとも、未成年者、家庭裁判所に法定代理人・保佐人・補助人を解任された者、本人に対して訴訟をし、又はした者及びその配偶者並びに直系血族、不正な行為、著しい不行跡その他任意後見人の任務に適しない事由がある者が、任意後見受任者とされている場合は、任意後見契約の効力は生じません。

任意後見契約は、任意後見監督人の選任前であれば、本人又は任意後見受任者は、いつでも公証人の認証を受けた書面によってこれを解除することができます。
任意後見監督人の選任後には、本人又は任意後見人は、正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て、任意後見契約を解除することができます。
ここにいう正当な事由とは、任意後見人の病気や遠隔地への転居等が考えられます。

任意後見契約は、本人や任意後見人、任意後見受任者が死亡した場合には終了します。


任意後見契約についての疑問、質問等があれば、是非当事務所にご相談下さい。
藤沢法律税務FP事務所

投稿者 弁護士 石和康宏 | 記事URL

2015年2月15日 日曜日

寄与分

寄与分制度とは、共同相続人の中に被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与をした者があるときに、相続財産からその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなして相続分を算定し、その算定された相続分に寄与分を加えた額をその者の相続分とすることによって、その者に相続財産のうちから寄与に相当する額の財産を取得させ、共同相続人間の公平を図る制度です。

寄与分が認められる要件として
⑴ 共同相続人による寄与行為
⑵ 寄与行為が特別の寄与であること
⑶ 寄与行為と被相続人の財産の維持又は増加との間に因果関係があること
が必要です。

また、寄与の態様としては、
⑴ 被相続人の事業に関する労務の提供(家業従事型)
⑵ 被相続人の事業に対する財産の給付(金銭出資型)
⑶ 被相続人の療養看護(療養看護型)
が例示として挙げられています。
そのほか被相続人に対する扶養(扶養型)や被相続人に対する財産管理(財産管理型)が寄与と認められる場合もあります。

前記のように寄与行為は特別の寄与(被相続人との身分関係に基づいて通常期待される程度を超える特別の貢献)である必要があります。
特別の寄与でなくては寄与分として評価されないのは、被相続人と相続人の身分関係に基づいて通常期待されるような程度の貢献は、相続分自体において評価されているとみることができるからです。

特別の寄与となる具体的な要件は、寄与の態様により異なりますが、一般的には、特別の貢献、無償性、継続性等が求められます。


寄与分についての疑問、質問等があれば、是非当事務所にご相談下さい。
藤沢法律税務FP事務所

投稿者 弁護士 石和康宏 | 記事URL

2015年2月 7日 土曜日

特別受益

特別受益制度とは、共同相続人の中で被相続人から遺贈を受けたり、また婚姻や養子縁組のため、あるいは生計の資本として、生前に贈与を受けた者がいた場合には、相続分の前渡しを受けたものとして、計算上贈与を相続財産に持戻(加算)して調整を図ろうとする制度です。

共同相続人の中に特別受益を受けた者がいる場合には、相続開始時における相続財産の額に、特別受益を受けた者の特別受益(前記の相続分の前渡しと評価されるもの)の額を加算して「みなし相続財産」とします。なお、共同相続人の受けた遺贈は、相続開始時に現存する相続財産の中から与えられるものですので、相続財産に加算しません。

みなし相続財産を基礎にした上で、相続分の割合を乗じて各相続人の相続分を算定し、特別受益を受けた者については、この額から特別受益分を差し引いた残額が特別受益を受けた者が最終的に取得できる金額(具体的相続分)ということになります。

具体的相続分を算定するための特別受益の評価基準時は、相続開始時とされています。
したがって、生前に贈与された財産について贈与時に比較して相続開始時の方がその時価が高くなっていれば、その時価で評価しなければなりません。

特別受益を受けた者の特別受益が具体的相続分を超過する場合でも、超過分について返還する必要はありませんが、相続において新たに財産を取得することはできません。
もっとも、他の相続人の遺留分を侵害する場合には、遺留分減殺請求の対象となります。


特別受益についての疑問、質問等があれば、是非当事務所にご相談下さい。
藤沢法律税務FP事務所



投稿者 弁護士 石和康宏 | 記事URL

2015年2月 1日 日曜日

遺留分

遺留分とは、被相続人が贈与や遺贈をした場合にも、相続人に留保される権利です。

遺留分のあるのは、相続人のうち、配偶者、子等の直系卑属、父母等の直系尊属で、兄弟姉妹やその子には遺留分はありません。

遺留分の割合は、直系尊属のみが相続人の場合は、遺産の3分の1、その他の場合は、遺産の2分の1です。
これに法定相続分を乗じたものが、個々の相続人の遺留分の割合になります。

遺留分の算定の基礎となる財産は、遺産のほかに被相続人の死亡前1年前に贈与された財産もこれにあたります。またいわゆる特別受益もこれに加えるとされています。一方、相続債務はここから控除します。そしてこうして算定された基礎財産に遺留分割合を乗じたものから、遺留分権利者が既に贈与を受けた財産の価額を控除したものが、具体的な遺留分の金額となります。

贈与、遺贈によって遺留分を侵害されたものは遺留分減殺請求権を行使することができます。

遺留分減殺請求は、遺贈と贈与がある場合は、まずは遺贈に対してする必要があり、遺贈の減殺では不足する場合に贈与に対してもこれをすることができます。

遺留分減殺請求は、必ずしも裁判による必要はなく、内容証明郵便等でなすことでその効力を生じます。

遺留分減殺請求がなされると対象となった財産について遺留分を侵害する限度で当然に遺留分権利者に権利が復帰する効果が生じるとされています。

遺留分減殺請求は、相続の開始及び減殺すべき贈与、遺贈があったことを知った時から1年、または相続開始時から10年以内にしなければなりません。


遺留分についての疑問、質問等があれば、是非当事務所にご相談下さい。
藤沢法律税務FP事務所



投稿者 弁護士 石和康宏 | 記事URL

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