Q&A

2015年5月24日 日曜日

遺留分減殺請求と登記

Q 遺留分を侵害する遺贈に対して、遺留分減殺請求を行使しました。この場合、相続による移転登記をすることができますか。

A 遺留分を侵害する遺贈がなされ、遺留分減殺請求がなされた場合の登記については、受遺者が遺贈の登記を受けているかで異なることになります。

受遺者が遺贈の登記を受ける前に、遺留分減殺請求権が行使された場合は、遺留分権利者は、単独で被相続人名義から直接自己に対し相続による移転登記をすることができます。

受遺者が遺贈の登記をした後に、遺留分減殺請求権が行使された場合は、遺留分権利者は、遺留分減殺を原因として、自己を登記権利者、受遺者を登記義務者として共同申請により、移転登記をすることになります。
この権利の移転は、実質的に相続による権利の移転と解されるため、登録免許税は相続による場合と同様になります。


遺留分減殺請求、登記についての疑問、質問等があれば、是非当事務所にご相談下さい。
藤沢法律税務FP事務所

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2015年4月26日 日曜日

換価分割と相続登記

Q 相続不動産を売却して、その代金を共同相続人間で分配することを考えています。ただ、共同相続人の数が多く、また遠方の者もいることから、売買による所有権移転登記の際の手続の煩雑を避けるため、共同相続人間の合意の上で、1人の相続人名義に相続登記をし、売却代金については実際の分割割合に従い、共同相続人に分配しようと考えているのですが、この場合、贈与税が課税されることになるのでしょうか。

A 国税庁の質疑応答事例(「遺産の換価分割のための相続登記と贈与税」)によると、共同相続人のうちの1人の名義で相続登記をしたことが、単に換価のための便宜のものであり、その代金が、分割の内容に従って実際に分配される場合には、贈与税の課税が問題になることはない、とされています。

 もっとも、譲渡所得の課税については、原則として、課税庁との関係では相続不動産を単独取得した(単独名義にした)相続人に課税されることになるため、譲渡所得税の負担についても共同相続人間で十分に協議、調整を行っておく必要があります。


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2014年12月20日 土曜日

相続回復請求権

Q 父が死亡し、相続人は長男である私と後妻の二人ですが、後妻が相続財産である父の土地を勝手に自己の名義に変えていました。私はそのことを6年前に知ったのですが、このたび、後妻に対して自己の持分の返還請求をしたところ、後妻から私の自己の持分を取り戻す権利は5年の経過により時効消滅していると言われました。私はもはや自己の持分を取り戻すことはできないのでしょうか。

A 民法884条は、相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅すると規定しています。
相続回復請求権は、真正相続人が表見相続人に対し、侵害された相続権の回復を求めることができる権利とされており、最判は、相続回復請求権は共同相続人間における相続権の帰属に関する争いにも適用されるとしています。
ただし、最判は、相続回復請求権に対して時効の利益を享受できる相手方について、自ら相続人でないことを知りながら相続人であると称し、又はその者に相続権があると信ぜられるべき合理的な事由があるわけではないにもかかわらず自ら相続人であると称し、相続財産を占有管理することによりこれを侵害している者は、本来、相続回復請求制度が対象として考えている者にはあたらないとしています。
すなわち、相続権がないことにつき善意でかつそう信ずべき合理的事由がある場合にのみ、相続回復請求制度が適用されることになります。
したがって、本件のような場合は、後妻についてあなたの相続権がないことにつき善意でかつそう信ずべき合理的事由がある場合とは到底言えないため、相続回復請求制度の対象ではありません。
あなたの持分の返還請求は無権利者に対する所有権に基づく物権的請求権ですので、消滅時効にかかることはありません。
よって、あなたは自己の持分の取り戻しを請求することができます。

なお、この相続回復請求制度はどのような場合に適用があるのかといえば、生まれてすぐ他人の夫婦間の子供として出生届が出されていたような者(いわゆる藁の上からの養子)がいる場合、また、死後認知により被相続人との親子関係が確定された相続人が生じた場合に、この者を除いて遺産分割がなされた場合など特殊な場合に限られます。

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2014年12月14日 日曜日

投資信託と遺産分割

Q 投資信託を共同相続した場合、共同相続人の一人が相続割合に従って単独で償還請求権を行使できますか。

A 最高裁判所の判例(平成26年2月25日)が、委託者指図型投資信託に係る信託契約に基づく受益権は、口数を単位とするものであって、その内容として、法令上、償還請求権及び収益分配請求権という金銭支払請求権のほか、信託財産に関する帳簿書類の閲覧又は謄写の請求権等の委託者に対する監督的機能を有する権利が規定されており、可分給付を目的とする権利でないものが含まれているので、このような投資信託受益権に含まれる権利の内容及び性質に照らせば、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないとしています。

 さらに、委託者指図型投資信託の受益権につき、共同相続開始後に元本償還金等が発生し、それが預り金として上記受益権の販売会社における被相続人名義の口座に入金された場合にも、上記預り金の返還を求める債権は当然に相続分に応じて分割されることはなく、共同相続人の一人は、上記販売会社に対し、自己の相続分に相当する金員の支払を請求することができないというべきであると最近最高裁で判断されています(平成26年12月12日)。

 したがって、投信信託(一般の人々の間に証券会社や銀行等を通じて広く取引されている投資信託は、委託者指図型投資信託になります)を共同相続した場合、遺産分割を経ずに、共同相続人の一人が相続分に従って単独で権利行使することはできません。


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2014年10月13日 月曜日

相続開始年の生前贈与

Q 弟が亡くなり、その亡くなった年に私は弟から生前贈与を受けていたのですが、贈与税を納めることになるのですか。
弟には子供がいるのですが、私が生前贈与を受けた財産も遺留分減殺請求の対象になるのですか。

A 贈与者が贈与をした年に死亡した場合、受贈者が相続又は遺贈により財産を取得した場合は、相続等により得た財産と合わせて、相続税の対象となります。
一方、受贈者が相続又は遺贈により財産を取得しなかった場合は、贈与税の対象となります。
したがって、弟さんから相続又は遺贈により財産を取得したかにより、相続税か贈与税か結論が異なってくることになります。

相続開始前1年内になされた贈与は、遺留分の算定にあたっての基礎財産となります。
もっとも、遺留分減殺請求の順序は、遺贈、贈与の順になります。
したがって、弟さんの遺贈の有無、その価額により、遺留分減殺請求の対象となるか結論が異なってくることになります。

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